スギ花粉症、ダニアレルギーに対するアレルゲン免疫治療
(舌下免疫療法)

花粉症

アレルギー性鼻炎とは、体内に侵入した抗原(アレルゲン)により体内で免疫反応が起こり、くしゃみ・鼻汁過多・鼻閉などの症状が出るⅠ型アレルギー疾患です。アレルゲンには様々な物質(花粉やほこりなど)があります。日本人の38.8%はスギ花粉をアレルゲンとするスギ花粉症であり、24.5%は通年性アレルギー性鼻炎(ダニ・カビ・昆虫・ペットなどをアレルゲンとする)であることがわかっています。

アレルギー性鼻炎の治療は、重症度に応じて、①アレルゲン(スギ花粉やダニ・ほこりなど)を避ける、②薬(内服薬・点鼻薬)、③手術、④アレルゲン免疫治療、が選択されます。鼻アレルギー治療ガイドライン(2016年改訂)には、重症度(軽症・中等症・重症)に応じた治療方針が記載されています。上記治療のうち、①アレルゲンの回避、②薬、③手術はいずれも対症療法(アレルギー性鼻炎を根本的に治す治療ではなく、症状を軽くする治療)ですが、④アレルゲン免疫治療は、アレルギー性鼻炎を根本的に治してしまう根治療法です。現在は、スギ花粉とダニアレルギーに対し、アレルゲン免疫治療薬が使用されています。

当院では、②薬による治療、④アレルゲン免疫治療を行っています。スギ花粉症、ダニアレルギーの患者様は、アレルゲン免疫治療が可能です。まず、アレルゲンがスギやダニであることを確認するため、血液検査を行います。アレルゲンを確認出来たら、舌下免疫治療を開始いたします。1日1回、治療薬1錠を舌の下に置き、数分後に飲み込みます。月1回、問診や鼻腔・口腔内を診察するために通院していただきます。最低でも3年間は続けていただきます。ダニアレルギーの患者様は1年中いつでも治療を開始できますが、スギ花粉症の患者様は、1月から5月までのスギ花粉飛散時期にはアレルゲンに対する感受性が高まっているため治療を開始できません。

アレルギーのある方にその原因物質を投与するわけですから、ごくまれですが何らかの副反応が起こる可能性があります。軽いものでは、口の中が腫れる、のどがかゆくなる程度の軽症のものですが、重篤になるとアナフィラキシー症状(全身の発疹、気管支喘息、腹痛、血圧低下など)が生じる可能性もあります。したがって、重症の気管支喘息などの合併症がある方はアレルゲン免疫治療を行うべきではありません。

アレルゲン免疫治療を始める際には、最初に薬を飲むときには院内で服用していただき、服用後30分は院内で経過を見ます。特に変わりなければ、翌日からはご自宅で服用を続けていただきます。