睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群
病態

夜間睡眠中に、舌根沈下などの影響により上気道(鼻腔・口腔・咽頭・喉頭)が狭くなり呼吸が不十分となる結果、日中に過度の眠気と仕事効率の低下を招く病気です。さらに、高血圧・糖尿病・狭心症・心筋梗塞・脳血管障害などの危険因子にもなります。自分では気づきにくく、また気づいても放置されていることも多い病気です。
男性では40歳代後半、女性では50歳代前半に多く、肥満者に多いですが、顎が小さくやせ形の人にも起こります。

症状

夜間:いびき・無呼吸発作(10秒以上呼吸が止まる)、何度も目が覚める、トイレに行く回数が多い
日中:眠気、倦怠感、起床時の頭痛、集中力や記憶力の低下

合併症

治療をせず放置した場合は、高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害の危険因子となります。

診断

鼻腔・口腔・咽頭・喉頭疾患の診断

まず、上気道に呼吸を妨げる要因(鼻腔では鼻中隔湾曲症や鼻茸など、口腔では扁桃肥大、小顎症(顎が小さい)、口峡が狭い、など)がないかどうかを内視鏡やレントゲンで検査します。

簡易睡眠検査、精密睡眠検査

次にご自宅で簡易睡眠検査(睡眠中の体内の酸素の量などを測定する)を行います。簡易睡眠検査で異常が見られたら、入院して精密PSG検査(睡眠中の体内の酸素の量に加え、脳波や胸壁・腹壁の動き、心電図など多くの項目)を行います。

睡眠中1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数を合計したものがAHI(無呼吸低呼吸指数)であり、AHIの値により軽症か重症かを判断します。成人では、AHIが5以下は正常、5から15までは軽症、15から30までは中等症、30以上は重症の睡眠時無呼吸症候群と診断します。

治療

持続的気道内陽圧呼吸(CPAP)

睡眠中、上気道に陽圧をかけることにより、狭くなった気道を広げて十分な換気量を確保する治療法です。毎晩、マスクを専用のベルトで鼻に固定した状態で寝ていただきます。現行の保険制度では、簡易検査でAHIが40以上、あるいは精密PSG検査でAHIが20以上であればCPAP治療の適応となります。月1回通院していただき、鼻腔・口腔の診察、および睡眠中のデータ(CPAP装用日数、装用時間、気道内圧、AHIなど)をチェックします。

歯科装具

患者様の歯型に合わせて作成したマウスピースを装着し、下顎歯を少し前に移動させることにより、気道を広げる治療です。

減量

体重を減らすことにより、睡眠時無呼吸症候群は軽症化します。

断酒・減酒

寝る前の飲酒は、睡眠時無呼吸症候群を悪化させます。

当院では、睡眠時無呼吸症候群に関する診察、検査(簡易PSG検査)、CPAP治療を行います。症状(日中の眠気、起床時の頭痛、睡眠時の無呼吸、何度も目が覚める、夜間トイレに行く回数が多い、など)のある方は受診してください。